思い出の品々

K18ブレスレット 税込み請求額 ￥576,649
(ダイヤ7個 計1.637キャラット使用)

Ｈ２７の秋、「Ｋですが、昔そちらで買ったダイヤのブレスレットを失くしたので、又作ってもらいたいのですが･････」とお電話頂いた。その時、失礼ながらお名前もお顔もブレスレットも思い出せず、自分の老化した事を嘆かずにはいられませんでした。
｢Ｋ様？、とりあえずご来店頂いて、腕巾も測ってみないと･･･、」というお返事をしました。

顧客名簿を見てみると、Ｋ様の名前は確かに有り住所と紹介者様の名前をみて、｢ああー！！」お顔も声もお人柄も浮かんできました。
しかし、名簿の制作一覧は平成１１年からの記録になっているので、空欄。ということは、昭和５８年の創業から平成１０年までのお客様、大変な時期を支えて下さった方なんだと感じ、思い出せなくて「申し訳なかったなー」という思いでした。

数日経ってＫ様ご来店､約２０年ぶりの再会です。昔と何も変わっていません「来たよー」とラフな挨拶！。笑顔でお迎えし｢一瞬思い出せなくてすみませんでした。でも２０年前後お会いしなかったのだから、許してくださいね」と誤りました。
Ｋ様は手に嵌めていた指輪を外し、｢あんたが創ったこの指輪どこにいってもほめられてさ･････」と言って、其の指輪とも２０ぶりの再開の私に渡した。｢へー、これ創ったんですねー！？」と私、｢少し上手になって来た！って自分で言ってたよ」私の台詞を覚えていたＫ様。一緒に笑っちゃいました。
｢私はココでしか指輪創った事無いんだよ、覚えてないかい？私に創ってくれたものを･･･」と聞かれ、｢あー、済みません記録が無いんですよ！」

次の来店日、当店のオリジナルなパーツに0.1ｷｬﾗ以上のダイヤを１個ずつ留めたブレスレットのデザイン画と見積もりをお見せすることになっていた。Ｋ様は、嫁入りした当店の"娘たち"を全部連れてきた！感激はひとしお、自分の若かりし時の息吹が今の私を励ましているかの様だった。有り難くて写真を撮らせて頂き、ブレスレットを一生懸命創らせて頂こうという想いにあふれた。
加工が思ったより易く出来た時は、其の分はお安くします。｣とお約束する。Ｋ様は笑っていたけど･････。

結城手紡ぎ糸残糸"きりすね"の資源開発の目的で、新しく開発したメガネ掛けになるブローチが、茨城デザインセレクションの選定を受け、11月に授賞式がありました。
茨城県工業センター繊維工業指導所より、「結城のお土産品の開発を...」と依頼を受けてから９年経ったので、ホット一息つけました。

今回はブローチのデザインのみならず、箱にも気を配り、黒の箱をオリジナルで作ってくれる所を探し、箱の上には、江戸時代の版画家"国芳"の、財を成した小三という町人が縞の結城紬を着ている浮世絵（実弟山田庄一より借用）を、貼り付け（FORM･PROSESSの八木崇晶に依頼）ました。箱の中に入れる説明文も和文と英文（海外生活していた同級生の協力）で"結城紬"を織る"糸"について説明しました。
出来れば、結城紬という日本最古の伝統的な織物の伝道者たらんと考えたからです。
市役所の企画産業課から出している６カ国のパンフレットも、作品を売る際は添えて良い事になりました。

しかしながら本業もあり、ブローチ1個の完成時間が９時間近く掛かかり、制作を始める前に糸にアイロンを掛けて長さを揃える、糸の整理時間を考慮に入れると、商業ベースに乗せるのには、もうひと工夫・もうひと苦労どころか、多大な工夫と忍耐と揺るぎない志向が、この先もずーっと継続しなければなりません。"あーア！早く止めておけば良かったのに！！"と囁く声がまた聞こえそうです‥‥が。

幸い「協力するよ」といって下さる方々もいらっしゃるのですが、商工会議所から「NPO法人にしないで、利益を出して、税金を払える企業をめざしてください！」と言われたので、一国民としては"そうあるべきかも..."と、2016は苦戦の道を行く覚悟です。
ケセラセラを歌いつつ‥‥。

今回は、１２月７日から５年ぶりに在庫セールを行う御知らせをすることにしました。

"対象製品"は、当店のオリジナルとして開発したデザインと、お客様からリフォームを依頼されご本人に似合う様考えたもののうち、多くの人々にも対応出来そうなデザインで、見本として次のリフォーム依頼者にお見せできるよう、宝石は変え一部手直し等もして､シルバーで型を取っておいたものです。
ですからデザインを見ると､リフォーム下さった方々との当時のいきさつや時代背景、ご家族の人々のこと等が浮かんできます。当店もＳ58年に開店してから32年がたちこれら見本も大分多くなりました。

地金高の昨今、リフォーム来店者がリフォームせずに「見本を買いたい」という方が多くなってきて、数年前より値段をつけたところ、｢プラチナや１８金は､ついしまっておくことになるけど､｢この位のお値段なら、普段に使えていいですね!!と好評です。

シルバーの唯一の欠点は"空気中の酸素で"酸化する"事で、その為にロジュームメッキをかけます。
長所は沢山有って、同じ見た目のＰＴ・Ｋ１８に比較すると、重さは半分・価格は？？分の1です。
ところが工賃だけは変わりませんし、むしろメッキの手間が掛かるので、シルバーでオリジナル制作・リフォーム制作の方は、割高だったかもしれませんね。

今回は、指輪の場合指サイズ毎に30~40種のデザインを展示。ゆっくり座って自分の手に嵌め､他のデザインと比較しながら選んで頂けます。（早いもの勝ちかも･････）お友達とお誘い合わせご来店下さい！

写真は指サイズ１０番～１１番のリング。
定価の３０％０FFです（税別）

Ｙ様は、数年前お母様から頂いた立爪リングを、爪がひっかからないシンプルなデザインに直し、｢普段に使うのにとても良い･･･」ということで、｢このヘッドも､同じ様に雰囲気をシンプルにして、セットで使えるようにしたい････！」というご希望であった。
今のファッションで、日常に使用したいとなれば、カジュアルな雰囲気にすることが賢明かと思われます。
持ってはいても使えない理由は、"いざ"という日にドレッシーな格好でお出かけする時の為にジュエリーを必要と考えたドレッシーさが、爪が引っかかる要素と少し気取り過ぎの要素を生み出しているから･･･と感じています。
特別の日に特別美しくなるのではなく、いつも自然体でありのままに美しくありたい･･･という想いで必要とするジュエリーは、自ずと宝石の留めかたも、気取り方も違ってくるのは当然でしょう。私はＳ５８年の開業当時からこの気取りのない(使用者の個性が際立つ）ジュエリーをめざしてきました。個性に合ったものは、何時いかなる場所でもどの様な服装でも、使用者の存在を照らし出します。

Ｙ様 (PT900ダイヤヘッド枠・チェーンロー付け３箇所) 税込み制作代＝￥53,307（ご請求額）

Ｈ様も同様で｢生母の形見なのですが･･･｣とご来店。サイズ直しということだったのですが、最後に一言｢サイズ直ししても使わないかも･･･」とおっしゃるので､「それじゃ直し代がもったいないでしょう？」というと、｢使わないのももったいないしね！リフォームすると幾らくらいかかるかしら････？」ということでご相談に乗らせて頂いた｡おしゃれなお方で､｢シンプルでないと使えない･･･｣と好みもご自分に似合うものもはっきりわかっていらっしゃる。
ダイヤに傷がつかないよう、枠の上に飛び出させず彫り留めにし､ダイヤの１粒が大きいので、中指から小指側に向かって斜めに下げ、ダイヤの高さぎりぎりの低さにしました。写真の撮り方が良くなかった様で、斜めに下った状態が想像しがたく、残念です。

Ｈ様 (PT900リング制作) 税込み制作代－（一文字枠売却）＝￥156､014（ご請求額）

Ｙ様が､色々なタイプを嵌めてお決めくださったのは､左手薬指の下がりに合って手が美しく見え、気持ちもぴったりのデザインをＫ１８の地金で創ることであった。
男性用は横長の角ダイヤを使用、ダイヤ枠をつけて強さを出しました。奥様の方へ入れるダイヤは大きいので、ダイヤに合わせて地金を高く厚くし､ダイヤが前面に飛び出さない様､低く留めて、裏側の方にダイヤのキューレット(下部の尖がった部分）を防御する枠をとりつけました。

Ｙ様 (K18リング2本) 税込み制作代＝￥251,991（ご請求額）

180センチ以上もある長身の男性と、小柄な可愛い女性のカップルは、沢山ある見本を嵌めてくださってから,手が美しく見え、お二人の気持ちもぴったりの(R-332)デザインを余り迷うことなくお選び下さいました。
ご主人用は(Ｍ)でもサイズとしては十分なのですが、より太い(Ｌ)で創ることになり、奥様用もサイズは(Ｓ)でも入るのですが、インパクトが少し強い(Ｍ)で創り、ピンクサファイアを1ピース留めました。裏側の文字は,お二人のイニシャルを可愛い亀が繋いでいます。

Ａ様 (PT900リング2本) 税込み制作代＝￥235,942（ご請求額）

様々な個性を持つカップルに出会いお話を伺って、自分の考えや思い込みが、型にはまらない様に訓練を受けているかと思えています。同時に沢山励ましも頂いて、働く悦びも与えて下さっています。有難う!!

10年前に結婚指輪を創ってくださっていたおふたりが、｢馬蹄形のヘッドを創りたい･･･」と、つくば市から二人ご一緒に来店くださった。
結婚10周年を記念して、ご主人が加工代をプレゼントするらしい。
お母様から譲られたというダイヤ10個入りのリングと、祖母様から譲られた9個入りＶ字リングの地金をそのまま使用して、鍛造で創ることになる。
ダイヤの大きさに合わせて馬蹄形の図面を描くと、11個のダイヤが必要であった。
2個のリングからダイヤをはずして洗浄し、色と大きさから11個選ばして頂いた。やはり奇数の方が中心がとれ安定感があるので、11年目からも益々お二人が好調で有りますように････ということで納得いただいた。
お帰りになるとき、｢まだダイヤが残っているので、また20年後に来て下さいね！」と、なぜか幸せな気持ちで、二人に声をかけた。

(PT900加工) 税込み制作代＝￥70,200（ご請求額）

１か月後、坂東市から「結婚10周年なので･･･」というカップルがもう一組ご来店。
今嵌めている結婚リングに、もう一本重なるリングを創りたいという。
見本を色々嵌めながらデザインを検討なさり、中心のあるリングを選ばれた。
中央部分にめいめいのイニシャルを彫って、１０年前にの結婚指輪とは感性の違うもの－なぜか若々しいものになった。それは現在の日々の生活が生き生きして明るいからではないか？と思っている。
指輪を取りに見えたとき、｢誰も見せる人がいないので････」と渡されたのは、プロに撮ってもらったお二人の写真で、素敵な背景に合った和装と洋装を自分達で選び、アルバム２冊になったという。
「10周年のイベントをしよう！と、写真と指輪を創ることに･･･｣とご主人が言い､「ほんと楽しかった！｣と奥様。
たぶんこの方達は、増々楽しい人生が送れるのでは!!と思えた。

(PT900リング2本) 税込み制作代＝￥234,769（ご請求額）

ワッセを読んで下さっていて｢そのうち立て爪をリフォームしに行こう！」と思っていたＨ様が、仲良し友人Ｓ様をお誘いすると、｢私もリフォームしようか？使っていないものもあることだし････」とお二人で来店下さったということらしい。
Ｈ様の立爪は、見本を嵌めていただいて一番お似合いと思われるものに決まる。売却分も沢山有り、その日の地金相場で買い取り価格を出し、おおよその見積もりをご提示する。

Ｈ様 プラチナ(PT900)税込み制作代￥117,308ー売却分￥70,012＝請求額￥47,316

Ｓ様は売却分としてお持ち下さった品々の宝石を全部外すことにし、｢指輪を創りたい･･･」というご希望に沿って、指輪のデザインスケッチをしてみる。一番大切に思っていらっしゃるのが、｢主人からもらったアメジストのイヤリング」ということなので、今回は1個だけメインに使った指輪を創ることになる。
Ｓ様は指輪が出来上がると、｢もう片方のアメジストをヘッドにしたい･･･｣ということで、残っていたメレダイヤ４個を添えて、｢なるべく大きなデザインに･･･」というご希望から、この様なデザインをご提案し了承を得た。

Ｓ様 K18税込み制作代￥141,395－売却分￥61,680＝請求額￥79,715

とに角、お二人の、さわやかな春風が吹き抜けるような会話は、自然体で正直で、聞いていて楽しい。ご近所で、同世代でこの様なご縁を頂ける方達は本当のところ稀な、幸せ族なのではないのか？と思えた。 私も幸せな方達とのご縁を得て"有難い"と感じている。

Ｓ様 K18税込み制作代＋チェーン代金＝税込み請求額￥109,698

久ぶりでお会いしたＯ様、ご主人を２年前に亡くされ、今度は同居なさっていた娘様(Ｅ様)のご主人も亡くなられたとかで、Ｏ様とＥ様が、おじいちゃんのリングとご主人のネックレス合計104.68gの１８金を持ってご来店。
「遺族の指輪を５本創ってください」というご要望である。

五人の好みの太さで、それぞれのサイズに合わせ鍛造で創ることにした。息子様の太いリングは傷の目立たないシックな仕上げをご提案させて頂く。
残った分は｢また後に孫に創って上げましょう」と言う。

(K18ﾘﾝｸﾞ５本）税込み制作代 ￥96､201（ご請求額）

22年前に当店でご用立て下さり、嫁がれる娘様に持たせてあげた品々を持参して、｢娘に先立たれた･･･」とＩ様がご来店。悲しみに体調を壊しながらも気丈に「私の最後の仕事です････」とおっしゃって、｢娘の夫・娘の息子2人・娘の弟・娘の妹、の5人」に娘様の遺品をリフォームして形見分けするという。

22年の月日は長く、持参のものを見せて頂いても22年前の記憶が蘇らず、申訳ないかぎりであった。がお話の途中で、娘の弟様の結婚指輪も買って頂き､そのお孫様の三歳のお祝いにはダイヤのヘッド(20になったらあげるように）を作らせて頂いた！と突如記憶が鮮明になり、そのお孫様が今年２０歳だという。
ただただ感謝！度重なる病にもめげず素晴らしい刺繍作品を作り上げる情熱に感服。必ず見せて頂く約束をした。

(ﾊﾟｰﾙ三連ﾌﾞﾚｽ・PT900指輪サイズ直しとﾊﾟｰﾙ付け・ﾊﾟｰﾙ付きPT900ﾀｲ止め４個)
税込み制作代 ￥312,607（ご請求額）

結婚指輪を見にこられる若い方のお顔が、なかなか覚えられなくなった。｢ぼくのこと覚えてますか？｣と話の途中でいわれて、ドキッ「なんかお会いした様な気がしていていたんですけど･･。あっ、先月お1人で来た方！」などと、危ういところで思い出すときもある。

このお二人の初回のご来店時には、ご主人の方は奥様の良かれとするもので良い････とお考えからか、奥様の先導で、指輪をあれこれ嵌めてみてはいるものの、終始口数少なく、奥様の方は御自分の母上様の結婚指輪ー小粒ダイヤが５ピース留まっているーを持参され、形は違ってもこれと同じ様な仕上げにしたい･････!！というご希望で､一生懸命であった。

色々検討しているうちに時間も過ぎ、何がきっかけとなってか思い出せないが、15年位前の詐欺にあった経験話を始めていた。気が付くと、ご主人は目が大きく見開き、大きな声で笑いながら｢"事実は小説より奇なり･･！"ですね･･･!!」と面白そうに言う明るい人となっており、奥様の方は、お疲れで小声になっていたので、あわてて話を止めた。｢ニャオー!ニャオー！閉店時間過ぎてるよ!｣愛猫がガラス戸の向こうで怒っていた。

高校時代のクラス会で再会し、恋が実ったという、このお二人が２度目にご来店の時も、やはり明るい美女と物静かな美男の姿だったのですぐには気付かなかった。が、今度はすぐに、ご希望を組入れる、手に合うデザインを決めることが出来た。

３度目は､プロが使う様な立派なカメラ持参で、出来上がりを取りにみえた。｢結婚指輪と作った人の写真を結婚式のとき、ビデオで参列者にみせます･･･」という。
「有難う!!」感謝。でもあの時の化粧、イマイチでした。

PT900　結婚リング2本税込み　￥227,253

結婚指輪の相談にいらっしゃったお二人、最初にご来店の時は、既に「この様な感じのものが･･･｣という意向をお持ちで来られた様な気がしている。

記憶は定かではないが、それが余りにもお二人に似つかわしく無く、新しい門出を記すものとしては残念だという、いつものお節介根性から、こんこんと「常識的でない、二人だけのものを作った方が良くないですか？」と言い、実例のアルバムをお見せしつつ、実例の先輩たちがそのデザインを決めたいきさつ等を、思い出すままにしゃべったと思える。

記憶が定かでないのは､この様なケースは多く､二度目の来店が無いカップルも多々ある。有難くも当店に依頼下さったカップルは、正直にもの申す店主の言葉を良しと感じて下さった、素直な方々しかいないのである。

この方達も例にもれず、二度目のご来店の時のお二人の会話を聞いていると､相手のことを優先する､穏やかで優しい物言いに､お二人共がとても素直で､爽やかな印象であった。図々しくも「どこで出合われたのですか？」と聞いてみると「スポーツジムです」という。

「そうですか！!」と、ひとりで合点していた。　話の合間に､｢車のナンバーが静岡になってますね！」と問うと､｢僕は静岡の生まれで、こちらの会社に派遣されてきているんです」という。そして静岡から毎日富士山を見ていたこと、育った町が大好きな様子が窺えた。そして今選んでいた指輪の中に

「ここに富士山を入れることできますか･･･？」
「う～ん！狭いねー！う～ん！でも･･･よし!!やる!!
やってみよう!!」唸りながら、自分を励ましながらお引き受けした。

結婚・婚約三点セット￥453､696